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日本医師国家試験 119D29

47歳の男性。咽頭痛を主訴に来院した。3日前から咽頭痛があり、今朝から唾液の飲み込みが困難になり、息苦しさも感じるようになったため受診した。体温38.0℃、呼吸数22/分、SpO₂ 93 %(room air)。含み声があり、頸部聴診で喘鳴を認める。喉頭内視鏡像(別冊No. 10)を別に示す。 まず行うべき対応はどれか。

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AIの回答:c

AI解説

本症例は急性喉頭蓋炎による気道狭窄が疑われる。急性喉頭蓋炎は急速に進行する気道閉塞のリスクが極めて高く、致死率の高い緊急疾患である。診断の根拠となるのは、①咽頭痛の急激な増悪、②含み声(hot potato voice)、③喘鳴、④低酸素血症(SpO₂93%)、⑤喉頭内視鏡所見(喉頭蓋の浮腫性腫脹と声門狭窄)である。特に喉頭蓋の腫脹は「サムサイン(親指サイン)」と呼ばれ、気道確保の必要性を強く示唆する所見である。気道確保が遅れると完全閉塞に至る可能性があるため、優先度最上位の対応となる。

a

NSAID投与は炎症軽減に有効だが、気道閉塞が進行中の状況では対症療法に過ぎない。気道確保が最優先であり、薬物治療は二次的対応となる。

b

胃管挿入は誤嚥リスクを増大させ、喉頭刺激により症状悪化を招くため禁忌である。経口摂取不能時には静脈栄養を考慮する。

c

正解。気道確保が最優先。気管挿管困難が予想される場合、緊急気管切開が必要となる。喉頭蓋炎では声門上部の腫脹が著しいため、経鼻気管挿管やバッグバルブマスク換気も困難となるリスクがある。

d

抗菌薬(第3世代セフェム系やβ-ラクタマーゼ阻害薬配合ペニシリン)はインフルエンザ菌感染を想定して必要だが、気道確保後の対応である。

e

呼吸不全の兆候(呼吸数22回/分、SpO₂93%)がある患者に自宅安静を指示することは重大な医療過誤となる。