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日本医師国家試験117E20

初発症状が肉眼的血尿とならないのはどれか。

正解:e

AI解説

この問題を解くためには、泌尿器系腫瘍の初発症状に関する知識が必要です。肉眼的血尿は尿路(腎盂・尿管・膀胱・尿道)に発生した腫瘍でよく見られる症状ですが、精巣腫瘍は尿路外に発生するため血尿を呈しにくいという特徴があります。

重要なポイントは以下の3点です:

  1. 尿路系腫瘍(腎盂癌・膀胱癌)では尿との接触により早期に血尿が出現
  2. 腎癌は尿路系外の腫瘍だが、腎盂に浸潤すれば血尿を来す
  3. 前立腺癌は尿道周囲に発生するため進行例で血尿が出現
  4. 精巣腫瘍は陰嚢内に限局するため、初発症状は無痛性腫脹が典型的

鑑別の鍵は「腫瘍の発生部位と尿路との解剖学的位置関係」です。尿路と直接接する構造に発生する腫瘍では、腫瘍の表在部分が剥離・出血しやすく、早期から血尿が出現します。

a

腎癌(腎細胞癌)は腎実質に発生します。初期は無症状のことが多いですが、腫瘍が腎盂に浸潤すると肉眼的血尿を呈します。典型的な3主徴は「血尿・側腹部痛・腹部腫瘤」ですが、これらが揃うのは進行例です。血尿が初発症状となる可能性はあり、除外できません。

b

腎盂癌は尿路上皮癌の一種で、尿路に直接接する部位に発生します。早期から腫瘍表面の脆弱化により肉眼的血尿をきたすことが多く、最も血尿を早期に認めやすい腫瘍の1つです。初発症状としての血尿の頻度が極めて高いです。

c

膀胱癌(特に表在性乳頭癌)では無痛性肉眼的血尿が最も多い初発症状です。血尿の特徴は間欠的で自然に消失するため、受診が遅れがちになる点が重要です。進行するまで疼痛を伴わないことが特徴です。

d

前立腺癌の初期は無症状ですが、進行して尿道や膀胱頸部を侵すと血尿が出現します。前立腺癌そのものよりも、併発する膀胱転移や前立腺肥大症に伴う出血の可能性もあります。進行例では初発症状となる可能性があります。

e

精巣腫瘍の初発症状はほぼ必ず陰嚢内の無痛性腫脹・硬結です。精巣は尿路系と直接連続していないため、血尿を来すことはまずありません。転移を起こした場合でも、後腹膜リンパ節転移による腰痛や腹部腫瘤、肺転移による呼吸器症状が先行します。