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日本医師国家試験116C46

32歳の女性。産褥3日目で入院中である。妊娠38週6日に2,900gの女児を経腟分娩した。分娩経過に異常は認めず、分娩時の出血量も正常であった。現時点までの産褥経過も順調である。

本日の所見として正しいのはどれか。

正解:a

AI解説

産褥3日目における正常な経過を理解することが重要である。産褥期は分娩後約6~8週間を指し、母体の身体は妊娠前の状態に回復する過程にある。特に子宮復古や乳汁分泌のタイミングは国試頻出事項である。

正解の選択肢を導くためには、以下の生理的変化を整理する必要がある。

  1. 乳汁分泌:プロラクチンの作用により、初乳は分娩後数日で分泌が始まる。産褥3日目では初乳が認められるのが正常である。
  2. 悪露の変化:産褥1~3日目は「赤色悪露」が主体で、4日目以降から「褐色悪露」→「黄色悪露」と変化する。
  3. 子宮頸管の状態:内子宮口が閉鎖するのは産褥1週間後頃であり、3日目では未だ閉鎖していない。
  4. 子宮底の位置:産褥1日目は臍高、その後1週間で恥骨結合上まで下降するため、3日目では腹壁上から触知可能である。
  5. 後陣痛:経産婦で顕著で、分娩直後~2日目に最も強く、3日目には減弱傾向にある。

これらの知識を統合し、産褥3日目というタイミングで起こり得る所見を選択する。

a

正解。初乳は分娩後2~3日目から分泌が始まる。黄白色で免疫グロブリン(特にIgA)を豊富に含む。プロラクチンの分泌が促進され、授乳開始に適した状態となる。

b

不正解。黄色悪露は産褥7~10日目以降に出現する。産褥3日目では「赤色悪露」が持続しており、主に血液・脱落膜・胎盤残渣で構成される。悪露の色調変化(赤→褐→黄→白)は産褥経過を評価する重要な指標である。

c

不正解。内子宮口が閉鎖するのは通常、産褥1週間後以降である。産褥3日目では外子宮口は閉鎖し始めるが、内子宮口はまだ閉鎖していない。子宮頸管は産褥終期にかけて徐々に短縮・閉鎖する。

d

不正解。産褥3日目では子宮底は臍下2~3横指(約3cm)に位置する。子宮底は1日目:臍高、その後1週間で恥骨結合上に下降するため、この時期に触知できないのは異常所見(子宮復古不全等)を示唆する。

e

不正解。後陣痛は経産婦や多胎妊娠で強く、ピークは分娩直後~2日目である。産褥3日目には通常減弱しており、持続する強い疼痛は胎盤遺残などを疑う必要がある。オキシトシン分泌が子宮収縮を促すメカニズムを理解しておくべきである。